個人開発のアプリやツール、電子書籍などのデジタル商品を売り始めるとき、避けて通れないのが「特定商取引法に基づく表記(特商法表記)」です。
そして、多くの人がここで手が止まるのではないでしょうか。
「え、自宅の住所を書くの…?」と。
自宅で活動している個人開発者にとって、これはかなり切実な問題ですよね。
なぜなら、ネットに自宅住所を公開するのは怖いじゃないですか。
でも、書かないわけにもいかなさそう。じゃあ、どうすればいいのか。
この記事では、この「自宅住所を書きたくない」問題に対して、個人開発者が取れる選択肢を整理します。
なお、私は法律の専門家ではないため、特商法の要件について断言はできません。具体的な判断が必要な場合は、消費者庁の公開情報や専門家にご確認ください。
ここでは「どんな選択肢があるのか」の全体像をつかんでもらうことを目的にしています。
前提:なぜ特商法表記に住所が必要なのか

特定商取引法は、通信販売などにおいて消費者を守るための法律。
ネットで商品を販売する事業者には、氏名(名称)・住所・連絡先などの表示が求められています。
そして、購入者が「誰から買うのか」を確認できるようにするための仕組みになっています。
デジタル商品でも、対価を得て販売する以上、この表記は基本的に必要になりますが、、、
個人開発者の多くは自宅で活動しているため、素直に書くと自宅住所がネット上に公開されることになる——これが問題の構図です。
自宅住所の公開には、プライバシーや安全のリスクがあります。
一度ネットに出た住所は完全には消せませんし、氏名や他のSNSと紐づけば、活動全体が特定される可能性もあります。「書きたくない」と感じるのは、ごく自然な感覚です。
では、選択肢を見ていきましょう。
選択肢1:プラットフォームの「省略措置」を使う
実は、特商法には一定の条件のもとで表示を省略できる例外的な取り扱いがあるとされています。
「請求があった場合に遅滞なく開示する」旨を表示し、実際に請求へ対応できる体制があれば、住所などの常時表示を省略できる、という考え方です。
BOOTHなどの販売プラットフォームでは、この形での運用が見られます。
たとえばBOOTHでは、特商法上の「販売業者」に該当しない場合は連絡先や住所などの記載義務はない、と案内されており、該当するかどうかは消費者庁のガイドを確認するよう促されています。
また、省略した記載は「請求により遅滞なく開示」という形をとっているショップも多くあります。
この選択肢の良いところは、費用がかからないこと。プラットフォーム内で完結する販売なら、まず検討する価値があります。
注意したいところは、あくまで例外的な措置であること。「販売業者」に該当するかどうかの判断は自分では難しく、規模が大きくなるほど「該当する」と判断される可能性が高まるとされています。
また、請求があれば実際に遅滞なく開示する義務は残るので、「完全に住所を秘密にできる」わけではありません。
そして、自分のサイトで販売する場合には、この形が使えるかの判断がさらに難しくなります。
まとめると、「プラットフォーム内で、小さく売り始める段階」の現実的な選択肢と言えそうです。
選択肢2:バーチャルオフィスを借りる

もうひとつの選択肢が、事業用の住所を借りられる「バーチャルオフィス」です。
借りた住所を特商法表記に記載することで、自宅住所を公開せずにビジネスができるというところが大きな特徴。
この選択肢の良いところは、根本的な解決になること。省略措置のような「該当するかどうか」の判断に悩む必要がなく、堂々と表示できる住所が手に入ります。
自分のサイトでの販売、複数プラットフォームでの展開、事業の拡大——どの段階でも通用します。請求時開示のような「開示したら結局自宅がバレる」という不安もありません。
注意したいところは、費用がかかること。とはいえ、最近は月数百円から借りられるサービスもあり、以前ほどのハードルではなくなっています。
私自身は、デジタル商品の販売にあたってこちらを選びました。「販売業者に該当するかどうか」を自分で判断する不安を抱え続けるより、住所を用意してスッキリさせたかったからです。
事業として続けていくつもりなら、早めに整えておくと安心感が違います。
実際にどのサービスを選んだか、料金やプラン、使ってみての注意点は、別の記事に詳しくまとめています。月額660円から使えて、特商法表記への住所掲載に対応しているサービスです。
私が実際に使っているサービスの詳細・料金・注意点はこちらの記事で↓
選択肢3:その他の方法
参考までに、ほかの方法にも軽く触れておきます。
レンタルオフィス・シェアオフィスは、実際の作業スペースも欲しい人向けです。住所利用だけが目的なら、バーチャルオフィスより割高になります。
実家や親族の住所を使うという手もありますが、家族の住所を公開することになるため、リスクの所在が変わるだけとも言えます。家族の理解が前提ですし、慎重に考えたい方法です。
選び方の目安:どこで、どのくらい売るか
ここまでの選択肢を、選び方の目安として整理します。
プラットフォーム内で小さく試す段階なら、まずはプラットフォームの省略措置の範囲で始めて、様子を見るのが現実的です。費用ゼロで始められます。
自分のサイトでも売る、事業として育てるつもりなら、バーチャルオフィスで住所を用意しておくと、判断の不安なく、どの販路にも同じ住所で対応できます。
月数百円の固定費は、「自宅を晒さない安心」への投資と考えると、個人的には十分に見合うと感じています。
大事なのは、自分の販売の規模と場所に合った方法を選ぶことです。
そして、どの方法を選ぶにしても、特商法の要件そのものについては、消費者庁の公開情報を確認するか、必要に応じて専門家に相談してください。
まとめ:怖さを理由に、販売をあきらめないで
「自宅住所を書きたくないから、販売はやめておこう」——それは、すごくもったいない判断です。
この記事で見てきたように、自宅を公開せずに販売を始める道は、ちゃんとあります。
プラットフォームの省略措置で小さく始めるもよし、バーチャルオフィスで最初から環境を整えるもよし。
自分の段階に合った選択肢を選んで、安心して「作ったものを売る」一歩を踏み出してくださいね。


